伊能忠敬は、江戸時代に一歩一歩歩いて気の遠くなるような方法で、日本地図を作成しています。

その時の測量道具は、なんと忠敬の歩幅(69㎝)、そして目印になる梵天、方位角度を調べる象限儀などなど。

みなすべてアナログな測量方法です。

そのアナログな測量方法でも、現在の日本地図と少しもひけをとらない、正確な地図が完成しています。

歩幅の距離と方角の角度を細かく記録し、この作業を延々と繰り返すのです。

断崖絶壁の海もあったでしょうし、険しい山もあるでしょう。

地形が入り組んだ複雑なところなど、今から思うとどんなふうにして測量したのかしらと、不思議に思ってしまいます。

しかし、忠敬は粘り強く一歩一歩丁寧にコツコツと、同じことを繰り返し続けました。

夜は、自分の位置を割り出すために、動くことのない北極星を支点に、これまでの測量が正しいかどうかを確認するのです。

こうして地道で単純な測量法が、日本の地図を完成へと導いています。

そこで私はこのような地道なやり方を、20年前から洋服の現物型取りに取り入れています。

なので今では地の目がない合皮や、革ジャンパーなどもY軸X軸を基本に、正確に型を取ることができます。

もちろんギャザー分量や隠れたダーツ量などもわかります。

なぜでしょう?

ではそのやり方を、紳士服の二枚袖の袖山を、糸、ピン、方眼定規で現物型取りをやっていきたいと思います。

日本地図の外枠距離の測量法と洋服の外枠距離の型取り方は同じ

伊能忠敬による日本地図の形状の求め方

歩幅の数や、象限儀などの角度で距離は求められます。

 

林喜伊子によるジャケット袖山の形状の求め方

洋服の袖ぐりの曲線の長さや、袖山の丸みの長さも直角三角形の対辺の長さでわかります。

ここではシーチングを使って、袖山の形状の求め方を出していきたいと思います。

1.肩線の肩先から袖口にかけて袖中心線縦地の目を糸でたどる

 

2.袖中心線に対して直角に横地の目を糸でたどる

3.同様にして袖中心線に対して、横地の目を袖底まで数本糸でたどる

4.袖山縫い目線にピンを差し込んでいく

5.糸で引いた縦地の目と横地の目を現物と同じように、別の布(シーチング)に鉛筆で引く

6.現物袖に⑤のシーチングを線に合わせてセットする

7.シーチングの上を濃い鉛筆でこすると袖ぐり線が浮き出てくる

8.最後に同様にして内袖も縦地の目、横地の目を取って縫い目の数値を正確に出していく

まとめ

得てして技術というものは、その人の興味ある所から始まり、最初はどの分野でも原始的な手作業から、始まっていくような気がします。

結局は、最終的に数値としてロジックができていき、小さなことの手順の繰り返しが、大きな形としてあらわれて来るのではないでしょうか。

私は20年ほど前から、アパレルメーカーさんの売れ筋商品の型紙を作成してきました。

すべてのシルエット(縫い目)の数値が合うと、出来上がったサンプル商品は、見事にシルエットが合っていました。

この方法を知らなければ、現物を測って製図を引いたとしても、その型紙と全く同じシルエットはできません。

コピー商品といわれればそうかもしれません。

しかし、この方法も一つの「導線法」の技術になりますので、パターン作成の作図方法として取り入れてみてはいかがでしょうか。