病気が多くなってくると、多くの診療科から多種多様な薬が処方されるようになっていきますよね。

しかしふと、薬の副作用が不安になることはありませんか?

必要な薬は飲まなければいけませんが、飲む薬の種類が多すぎると、その分だけ飲み合わせのリスクが高まりますよね。

中高年はとくに薬の副作用のことも考えていく必要が、あるのではないでしょうか。

そこで、今回は薬の効果と副作用の大切な「さじ加減」についてご紹介したいと思います。

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目次

 薬の飲みすぎで老化のような症状が・・・・?

薬の飲みすぎによる「薬剤起因性老年症候群」とは

高齢者の多くは、一つの病気に対して1~2種類の薬を飲んでいます。

病気が多く、複数の診療科にまたがれば、1回に服用する薬の数も増えますよね。

その結果、薬の飲みすぎによって、物忘れや抑うつ、食欲低下や便秘など老化現象のような症状が引き起こされています。

このことを「薬剤起因性老年症候群」といいます。

 

6種類以上の薬を服用すると、副作用が現れる確率が高くなる!

上記グラフは、東大病院の老年病科に入院した人を対象に調べた薬の服用と、副作用に関する統計です。

見てみると、薬を6種類以上服用すると、薬物副作用が発生する確率がグ~ンと高くなっていますよね。

結果、副作用の発生率は、12~14パーセントに増えています。

我が国の病院では、尿疾患なら泌尿器科、難聴なら耳鼻科、転倒なら整形外科など個別の診療科ごとに、診察を受けていく仕組みになっています。

多くの病気にかかれば、結果として手元に薬があふれてきます。

そしてそれらの薬を全部飲むことにより新たな副作用が起き、本来不要な薬までもが追加処方されていくという”悪循環”が起きて来るのではないでしょうか。

それに年齢を重ねてくると、薬の効き目が強くなるそうです。

「さまざまな診療科から処方された治療薬を、すべて本当に飲まなければならないのか、原点に返らなければいけないですね」とは、東京大学医学系研究科教授の秋下雅弘教授。

 

転倒の原因となる睡眠薬より、生活習慣で改善を!

痛みなどのために使う対症療法の薬も、本当に使った方がいいのかどうか、十分に考えた方がいいかもしれませんね。

例えば”しびれに効く”といわれて服用していた薬で、しびれが治らないようであれば、その薬は効いていません。

効かない薬であれば、即座にその薬はやめる方がいいと考えなくてはいけません。

そこでまず自力で生活習慣の改善や運動など、別の選択肢を考えることも重要です、と秋下さんは言います。

またしびれを抑えるとして、中高年に処方される「リリカ」という鎮痛剤があります。

劇的に効くと評判の一方、劇症肝炎を発症したという患者さんが増え、厚生労働省が「使用上の注意」を改訂して、話題になったのも記憶に新しいことですね。

薬は効果と副作用の”さじ加減”がとても大事です。

本当に飲む必要があるかどうかを、常に考えることが重要になってくるでしょう。

 

中高年から特に慎重に服用すべき睡眠薬

年齢を重ねると熟睡した感じが得られなくなるのは自然現象です。

なのに眠れないからといって、睡眠薬を安易に服用してませんか?

効果が長く続く睡眠薬を飲めば、朝起きてもぼーっとし、ふらつく原因にもなります。

そこで中高年から特に慎重に服用すべき睡眠薬と、その主な副作用を表にしてみました。

系統 商品名 主な副作用
睡眠薬

(ベンゾジアゼピン系)

インスミン・ダルメート・ベノジール


ソメリン


ドラール


ハルシオン

眠気・ふらつき・便秘など


同上


ふらつき


記憶障害

睡眠薬として使われる

抗不安薬

(ベンゾジアゼピン系)

コントール・バランス


セルシン・セレナミン


セレンジン・ホリゾンなど

 眠気・ふらつき


転倒・口渇


便秘など

※ 日本老年医学会(2005)の資料を基に作成(一部抜粋)

ハルシオンという睡眠薬は、長期服用によって記憶障害を起こしやすい薬です。

睡眠は生活習慣で整えることができます。

例えば、夕食後いったん眠くなることがあります。

しかしそこで寝てしまえば夜中に起きてしまい、睡眠薬を服用しなければ眠れなくなることがあります。

夕食後にすぐ寝てしまうのではなく、そこで我慢して起きていて、夜11時くらいに寝床につけば、朝6時ぐらいに起きることができます。

このように意識次第では、睡眠習慣は十分に変えることができるでしょう。

薬の服用には副作用を十分に理解し、減らせる薬がないかどうかも”くすり力”をつけるのも、基本かと思います。

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高齢者に優しいバリアフリー製剤が出てきています!

  従来の薬の課題         バリアフリー製剤


錠剤・粉薬が飲みにくい   ➡  口の中でふわっと溶けるOD錠

味が苦い          ➡  苦さを感じさせない薬

大きすぎる・小ささすぎる  ➡  過度な大きさ・ゼリー錠

飲み忘れる         ➡  貼り薬

 

さて飲む薬の量が多い人は、飲み忘れや飲み間違いなどの服用に関するトラブルへの、注意が必要となりますよね。

その場合、高齢者が使いやすい”バリアフリー製剤”と呼ばれる薬に変えることで、トラブル回避につながることが多いですよ。

例えば、胸や背中に貼り、薬効が皮膚を通して浸透していくタイプの貼り薬が出ています。

貼り薬には、狭心症治療薬、咳止めなど、最近では認知症治療薬なども出ています。

また薬を飲みづらかったり、喉でつかえたりする場合は、水で飲まなくても口の中に入れるだけで溶けていく「口腔内崩壊錠(OD錠)がおススメです。

ゼリー状では、骨粗しょう症治療薬のビスホスフォネート製剤が出ています。

スルッと喉を通るので、飲むこむ力が弱まっている人にとって飲みやすいものです。

こうしたバリアフリー製剤は、各製薬会社が開発しており、医師から処方される医療用医薬品のうち、特許が切れて別の会社が発売しているジェネリック医薬品(後発医薬品)のこともあります。

近年では、服薬を助けるサポートグッズも出ています。

ご自身の薬の飲み合わせや飲みやすい薬について詳しく知りたい方は、全国に1500人以上いる老年医学会認定老年病専門医に、気軽に相談してみるといいでしょう。

 

 

6種類以上の薬を服用すると副作用が出る確率はまたその対処方法は?まとめ

得てして自分の体は自分が一番よく知っていると思いがちになりますが、確かに自分の体ですから誰よりも自分が一番よく知っているでしょう。

しかしながら、よく知っているからこそ灯台下暗しということもあり、見逃してしまうことも間々あります。

薬などは自己判断しないで、かかりつけの医師とよく相談しながら、ご自分に合った薬を選ぶことも大事かと思われます。

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