「棋士としての幸福感を考えてみた場合、なかなかその答えがみつかりません。」

「もちろん勝負師である限り、勝つことで充実感は味わえます。」と語る羽生善治氏。

私は今でも覚えています。

彼が、14歳でプロ棋士になったときの様子を鮮明に・・・。

確か寝ぐせで、髪の毛が数本立っていたのを、カメラに撮られていたのかな、そんなほほえましい姿でした。

幼さと、それでも将棋界を担っていく、堂々とした威厳がありましたね。

以下PHP5月増刊号より、羽生善治竜王の人生論を抜粋してお伝えします。

目次

自分が納得できる将棋を指したい!

プロフィール:埼玉県生まれ。小学校6年生で二上達也九段に師事。中学校3年でプロ棋士に。’96年には、史上初の七冠王に輝く。2012年大山康晴十五世名人の持っていた生涯獲得タイトル数を超えて、歴代1位となった。さらには’17年12月の竜王戦を制し、史上初の「永世七冠」を達成する。国民栄誉賞を受賞。著書に「直感力」(PHP研究所)など。

なんとググっと吸い込まれそうな笑顔でしょうか。

私もこんな素敵な笑顔を、1枚残してみたいものです。

めったに撮れるものではないでしょうね。

将棋は、集中力と体力を非常に要するゲームだとのこと。

「あらっ!将棋だけではないですよ」と、ツッコミが入りそうですが、なにせ2日間かけて一局の勝負をするのだとか。

えぇ~、2日間も。

でも睡眠はとるんでしょう。

それにしても若くないと、体力が持たないわねぇー。

彼はすさまじい集中力が必要だということを、知っていました。

そしてその集中力を支える体力も欠かすことができないということも。

それがわかっていたからこそ、私は二十代のうちにタイトルを狙ったのですと。

また歳をとって体力がなくなれば、集中力がなくなるのは目に見えてる。

キャリアではカバーできない”勢い”は、二十代が限界だそうですよ。

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二十代で七冠を達成!

幸いにも彼は、二十代で七冠を達成することができました。

棋士としては名誉でもあり、幸せなことでもありました。

しかし、この七冠を何年も維持することはできないようです。

四十歳になって再びとることなど、不可能なことと思えるのだそうですよ。

今では将棋に対する姿勢は明らかに変化しました。

勝ち続けることよりも、自分が納得いくできる将棋を指したい。

将棋のもつ奥深さをもっと知りたい。

そんなふうに自分の中では、棋士としての幸福感のターニングポイントを迎えたともいえるでしょう。

私は若くしてタイトルを取ったために、天才とか才能があるなどといわれてきました。

しかし、自分自身では決してそうは思いません。必死になって将棋の勉強をしてきた結果に過ぎないと思っています。

才能とは?

才能とは何かと問われれば、「続けることだ」と私は答えます。

続けることなど誰でもできることだと思われがちですが、実はこれが最も難しいことなんです。

来る日も来る日も将棋の勉強をする。

これがなかなかできない。

好きな将棋であるはずなのに、どこかで気を抜いてしまう。

一日でもさぼってしまうと、何か月もの努力が無駄になってしまう。

この苦しさを乗り越えたところに、才能が生まれてくる。

そして、その才能を自らが確信できたときに、充実感と幸福感が味わえるのだと思います。

流れに身を委ねてしまうことも大切

私は、まだまだ若輩で、人生の幸福を語ることなど到底できない。

しかし、人生を将棋に例えるならば、この諦めにも似た気持ちも時には必要なのではないかと思います。

長い人生の中には、どうしようもない局面が、いくつもあるような気がします。

いくら自分が頑張ってみても、なにもよくならない。

自分だけの力ではどうしようもない。

そんな大きな波みたいなものがきっとある。

何とかしようとあがくほどに、心身ともに疲れ切ってしまう。

ボロボロになってしまう前に、流れに身を委ねてしまったほうがいい。

そして、小さな幸福が目の前を通り過ぎようとしたとき、それをつかむ神経だけは研ぎ澄ませておく。

私は、そういうものではないかと思うのです。

ただし、完全に諦めてしまってはいけない。

人生をあきらめてしまうことは、人間としてのプライドをも捨てることだからです。

まとめ

私も「ダーツ処理作図方法」の理論の普及の夢を追い続けて30年。

2000年に、この理論を特許取得して18年になる。

無料開放にして公開したいのだが、世間の壁はとてつもなく厚い。

服飾専門学校は、各校独自の原型での作図法を持っているので、他の作図法を知ろうとも思わない。

流れに身を任せて18年。

完全にあきらめたわけでもないのだが、多くの若者に標準立体式の作図法を知ってもらい、服作りの楽しさを知ってもらいたい。