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【読売新聞より2018/6/21】

 

将棋の藤井聡太七段(15)の目まぐるしい活躍は、まさに「淀みに浮かぶうたかたは、とどまるたるためしなし」である。

この「方丈記」の一節が、彼に当てはまるかどうかは別として、とにかく藤井七段の動向から目が離せない。

毎回々、彼の打つ一手が度肝を抜かすのである。

今回、石田直裕五段とのランキング戦5組決勝、藤井七段との対局はまさにAIをこえた一手が見られ、話題を呼んだのである。

これが常識外の飛車切りといわれています。

ではこれから「常識外の飛車切り」がなぜ常識外なのか、説明していきます。

目次

藤井七段のAI超えた常識外の一手飛車切りとは

 

上記図の局面をご覧ください。

石田五段はこれ幸いと思い、7七歩(赤矢印)の飛車取りの一手を、打って出た。

一見後手が困っていそうだが、そうはとんやがおろさなかった。

藤井七段はその場のひらめきがあったのか、自分のレールを敷き、そのレールに相手を乗せようとしたのだった。

飛車と歩を交換する常識外の斬り込みをしたのだ。

これは普通では考えられない、例えば1万円札を1円に交換するのと同じである。

誰が一万円札を1円玉に替えますか?

普通の人間だったら、替えないでしょう。

しかし、彼はやった。

超度肝を抜かす一手である。

同金には8五桂。

藤井七段の桂馬が攻めに加わって、一気に石田五段の玉周辺の守りが、弱体化したのでした。

これは1秒間に数百万手を読む将棋ソフトさえ、事前に読むことができなかった一手だったのです。

飯島七段は「一番強い駒である飛車を切ったのは、その先の手順を読みきっているからこそできること」と興奮気味に語っていました。

さらに「この手を10手くらい前から読んでいたのでしょうね。そのことにすごみがあります」と上村四段も話していました。

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藤井七段王座戦 タイトル初挑戦まであと2勝

22日東京千駄ヶ谷の将棋会館で行われた、王座戦挑戦者決定トーナメント準々決勝がありました。

藤井七段は、深浦康市九段(46)を120手で破り、タイトル初挑戦へあと2勝へと迫りました。

王座戦準決勝では、斎藤慎太郎(25)と対戦します。

この日の対局は、相雁木と呼ばれる最新型の戦いになり、一進一退の持久戦を藤井七段が制しています。

深浦九段は、タイトル獲得3期の強豪になりますので、このことによって藤井七段は、昨年の叡王戦で逆転負けをしています。

藤井七段がタイトルに挑戦すれば、屋敷伸之九段(46)の持つタイトル挑戦最年少記録(17歳10か月)を大幅に更新することになります。

なんということでしょう。

次から次へと、最年少記録を塗り替えていくのでしょうか。

まとめ

毎回毎回、藤井聡太七段の記事を書くごとにあれよあれよという間に昇段していく様は、澄んだ川の流れに似ているようだ。

途中に石ころがあってもひょいとかわし、行く先に大きな石が待ち受けていようがなんのその。

わき見をせず、一心不乱に突き進むさまは、百獣の王「レオ」と同じだ。

これからも私が生きている限り、彼の輝く挑戦を記録していきたい。

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