30代後半の息子が、会社の勤務後、足を引きずって帰ってきたんですよね。

私は思わず「どうしたん?」と尋ねました。

息子は「ごっつう痛いねん」と悲痛な顔で足を見せてくれたのです。

すると足の親指の付け根が、真っ赤にはれ上がりいかにも痛々しそう。

我が家では初めての経験なので、「なんでやろ」なんていいつつ、とにかく病院に行こうと言ったものです。

診察が終わった後、血液検査の結果「痛風」ということでした。

その時、「ビールをよく飲むか」と聞かれたそうですが、息子はほとんどアルコールは飲みません。

「“プリン体”がどうたらこうたらと先生は言っていたが、ようわからん」なんて息子は言ってましたね。

また通常尿酸値の値は、正常値で3.6~7,0ですが、息子の場合8,5もあり痛みの原因がわかりました。

これをきっかけに、痛風の治療から対策や薬との関係を調べてみましたので、痛風にかかった方はご覧いただけると、参考になるかと思います。

下記の写真は息子のその時の症状です。

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目次

痛風とは

痛風は、足の指や膝の関節などが腫れて、激痛を伴う病気のことをいいます。

痛風の痛みは、一言ではいい表せないもので、いわゆる“尿酸”という物質が、体の中に異常にたまってしまい、関節などに沈着するという病気です。

そもそも尿酸ってなに?

尿酸とは一つの物質名です。

尿酸のもととして「プリン体」がありますが、尿酸は老廃物ですので、尿として排出されるものです。

ところが体内で尿酸が作られすぎたり、不要となった尿酸がうまく体の外に排泄されなくなることで、血液中の尿酸の濃度が高くなってきます。

できた尿酸は、尿の中に排泄され、体内の尿酸の量(尿酸プールという)は常に一定に保たれています。

 

体内の尿酸プール

 

高尿酸血症と痛風の関係

痛風による発作は痛風関節炎ともいわれ、尿酸の結晶が関節に沈着することで起こります。

発作はある日突然に起こり、息子も突然強烈な痛みに襲われ、戸惑ったようです。

痛風自体が腫れと激痛を伴うのが特徴です。

その症状の場所は、ほとんどの人が足の親指の付け根が最も多く、痛むのは普通一度に一か所だけです。

発作は1~2週間で治まりますが、根本にある高尿酸血症を放置していると発作を繰り返してしまいますので、注意が必要です。

 

関節炎をおこしやすい患部

痛風になりやすい人は・・・

1.激しいスポーツを好む人

2.仕事をバリバリこなす熱血漢な人

3.アルコール特にビールを好んで飲む人

4.太っている人

心当たりがある方、注意しましょう。

痛風の起こるしくみ

尿酸値が7,0mg/dlを超えた状態が長く続くと、血液に溶けきらなかった尿酸が結晶化して、関節に沈着します。

ストレスや激しい運動、尿酸値の急激な変動など何らかのきっかけで、沈着していた尿酸の結晶が関節の中で剥がれ落ちると、白血球がそれを排除しようと格闘します。

その結果関節の炎症(痛風発作)が起きることになります。

また高尿酸血症が続くと、関節などに積み木のように尿酸の結晶が積み上がります。

そして何らかのきっかけで、その結晶が崩れ落ち痛風発作が起きるという図式になります。

高尿酸血症を治療しない限り、これを繰り返すことになります。

痛風の治療はどんな治療をするの?

高尿酸血症だからといって、すぐに薬による治療が必要になるわけではないようですよ。

痛風の治療は「対症療法」「原因療法」「健康管理」の3段階あります。

第一段階:痛風発作を抑える対症療法

痛風発作時には、消炎鎮痛剤(インドメタシン、ナプロキセン、プラノプロフェインなど)が短期間のみ使われます。

発作の起こり始めに、「これは痛くなるな」というような前兆や症状があれば、コルヒチン1錠が有効です。

痛風が起こってからでは尿酸値を下げる薬を飲み始めると、痛風発作は逆にひどくなる場合がありますので、気をつけなければならないところです。

尿酸値を下げる薬は、発作が治まってから開始します。

第二段階:血清尿酸値を下げる原因療法

痛風発作が治まったからといって、痛風が治ったわけではありません。

痛風発作の原因である、尿酸値を低く抑えておかなければ痛風発作も繰り返し、さまざまな内臓障害を起こしやすくなります。

血清尿酸値を下げる薬には、体の中で尿酸を生成できにくくする薬(アロプリノール)があります。

また尿の中へ尿酸を追い出しやすくする薬(ベンズプロマロン)があります。

この種の薬は、発作の有無にかかわらず長期間飲み続けなければなりません。

どちらがあなたの症状に適合するか、あなたの体の中の尿酸の動き、腎結石や高血圧などの合併症の有無などから総合的に決められてきます。

第三段階:合併症を予防する健康管理

痛風患者さんは、肥満、高血圧、脂質異常症などを合併することが多く、メタボリックシンドロームとして動脈硬化が進みやすい体質になっています。

しかも薬を飲んで血清尿酸値をコントロールしても、これらの合併症は防げなくなってきます。

体重制限をはじめとするセルフケアや、場合によっては降圧剤、脂質異常症治療剤などを使って、重大な合併症の発病を予防するようにしましょう。

尿酸を下げる薬の服用中に注意しなければならないこと

  • 尿酸を下げる薬を飲み始めてしばらくは、逆に発作が起こることがあります。

これは、からだにたまった尿酸が少しずつ溶けるためです。治療を始めてから3か月以内によく起こり、長く治療をしなかった患者さんほど起こりやすいようです。痛風治療ではどうしても通らなくてはいけない、関門のようなものです。医師の指示をよく守り、治療をやめないようにしましょう。

  • 定期的に通院し、血清尿酸値を測定しましょう。

医師に定期的に血清尿酸値を調べてもらい、必要な薬の量を調節してもらうとともに、高血圧、脂質異常症などの合併症のチェックと管理をしてもらいましょう。

  • 尿酸を下げる薬は相当長期間飲み続けるのが原則です。

症状がないからといって尿酸を下げる薬をやめたり、勝手に量を加減したりすると血清尿酸値はすぐに高くなります。これでは痛風の発作が起きたり、腎臓の障害が進む事がありますので注意が必要です。

  • 尿のアルカリ化が大切です。

尿が酸性だと尿酸は溶けにくく、尿路結石の原因になります。この場合、尿をアルカリ性にする薬が使われますが、日常生活でも野菜、海藻、牛乳などのアルカリ性食品と水分を十分に摂るように心掛けましょう。

食事制限は総カロリーとプリン体

痛風・高尿酸血症の患者さんの食事で注意しなければいけないのは・・・。

  1. 総カロリーの制限
  2. プリン体の多い食べ物を食べすぎない
  3. アルカリ性食品を多くとる

痛風・高尿酸血症の患者さんの食事では、総カロリーの制限が最も大切です。

摂取カロリーを抑え、多種類の食品をバランスよく、少しずつ食べることを心がけます。

ただし、痛風発作のある時はプリン体を多く含む食品は、できるだけ避けるようにします。

アルコールはカロリーが高く、尿酸値にもかなり影響を及ぼしますので、できるだけ控えるよう注意したいものです。

特にビールは、プリン体を多く含む飲み物です。

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食品中のプリン体含有量とカロリー

分類 食品名と1人前の分量 プリン体(㎎) カロリー(kcal)
プリン体の多い食品  牛焼肉レバー  120g

アンキモ(酒蒸し)     50g

牛肉ヒレステーキ  200g

豚ロースステーキ  200g

カツオ切り身      80g

車エビ                      80g

マアジの干物           60g
 サンマの切り身       80g

タコ                         80g

ヒラメ切り身          80g

263.7

199.6

196.7

181.8

169.1

156.2

147.5

123.9

109.9

106.7

158

223

266~446

656

91~132

78~99

132

239

61~79

82~99

プリン体の比較的少ない食品 干ししいたけ5個    10g

乾燥大豆                    20g

板かまぼこ                80g

白米                           65g

ウインナーソーセージ     30g

数の子                       60g

チーズ                       25g

38.0

34.5

21.1

16.8

13.6

13.1

1.4

4

83~90

72~82

231

96

53

85

アルコール飲料中のプリン体及びアルコール含有量とカロリー

 アルコール飲料名と分量  プリン体  アルコール  カロリー(kcal)
 ビール大瓶1本           633g

 日本酒1合                  180g

 ワインハーフボトル1本    375g

ウイスキー1杯            80g

焼酎(25%)                 100g

27.5~43.4

2.2

1.5

0.1

0.03

24~38

22

32~35

25

20

255~407

185~196

273~289

181

141

あなたができる痛風予防のための日常注意する5項目とは

1.肥満を解消する

血清尿酸値は体重が急に増えると上がり、体重が減ると下がります。

肥満のない患者さんも、食べすぎに注意しましょう。

また適正カロリーは守ってください。

2.アルコールを控えるー特にビール

どんな種類のアルコールも血清尿酸値を上げます。

中でもビールは多くのプリン体を含んでいますので、できるだけ制限しましょう。

3.水を十分に飲む

尿酸は、腎臓から尿の中に捨てられますから、水分を十分にとって尿の量を多くすれば尿酸もたくさん尿中に出ていきます。

お茶、水などを十分に撮って、尿量を多くしましょう。

4.軽い運動をする

1日20分前の早足歩き、軽いジョギングなどの楽な運動は、有酸素運動で尿酸値を上げません。

また、肥満や高血圧にも良い影響を与えます。

ただし、運動不足の患者さんがいきなり能力以上の激しい運動をすると、無酸素運動となって、体内に酸素が不足して血清尿酸値をあげてしまいがちになるので、要注意です。

5.精神的ストレスを発散させる

痛風の患者さんは、積極的、行動的ですが、反面、攻撃的で協調性に欠けるといわれています。

精神的ストレスは、血清尿酸値を上げるので、ストレスを適宜発散するよう工夫しましょう。

まとめ

私の息子もそうなんですが、痛風は、痛風発作の時以外は無症状なので、普段「喉元過ぎれば熱さを忘れる」といって治療が続かない場合がよくあります。

痛風は、症状がない間に体が少しずつ侵されて行くのが特徴です。

症状がないからといって、治ったと勘違いするかもしれませんが、それは認識が甘いというものです。

痛風の治療は、痛風発作の痛みをとるだけでなく、高い血清尿酸値を正常範囲に維持し、最終的には腎臓障害や他の重大な合併症を予防するのが目的です。

このことをあなた自身がよく理解し、日常の生活を快適に過ごすことです。

そうはいってもなかなか改善することは難しいでしょうが、一つ一つ目の前のできること、5つの項目を実行していきましょう。

息子よ!

水分を十分に取り、尿酸を外に出しましょう!

そして運動をしてください。

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